映画「ジャッジ!」

何かを悩んしているような表情で、男性は自分の唇を触った。

彼は審査委員のCMに一票入れるのが嫌だった。
ペンを握り審査委員の方を見て、それから嫌な表情をした。
そして何度も何度も表情を変えた後、小声でブツブツ言い

そして一言「仕方ねえなぁ」と言いボタンを押した。

撮影スタジオがある。

数人の撮影スタッフや監督が見ている中で、

音楽が鳴り、キツネの着ぐるみを着た俳優が出てきた

彼は音楽に合わせ腰を振りながら
一歩ずつステージの中心へ近づき
そこで一気にジャンプしながら反転した

黒いスーツを着た男性社員は
「大瀧」と言う男性社員を「さすがだ」と褒める。

そして「キツネうどんのCMでストレートに        

キツネを出すのがクリエイティブですね」と言った。

それに対しサングラスをした男性(大瀧)は
タバコを吸いながら黒いスーツを着た男性社員に
「裏の裏の裏。裏だからね」と言った。

それから
「麺のコシもまんま腰で表現している」
黒いスーツを着た男性社員は言った。

大瀧は
「工夫しないという句風だよ」と
タバコを吸いながら真顔でボソッと言った。

「ほぅ・・深いなぁ」
と黒いスーツを着た男性社員は大瀧
の言っている話を納得し感心した。

その時「カット!」の指示が俳優に入った。

木ぐるみを着たまましゃがみ込みステージに手をつく俳優
舞台にいるスタッフ達は、皆で俳優の周りに集まった。

客席側に座っている監督は大瀧に
「どうですか?大瀧さん」と聞いた。

「腰の振りが甘い!」
大瀧は立ち上がり
舞台にいる俳優に聞こえるように言った。

俳優は着ぐるみを着たまま、大瀧の方を注視した。

「もっとこう、コシッコシッて!」
俳優に聞こえるように言いながら、
大瀧は自ら両手を上にあげ腰を左右に降った。

それから
「腰にはこだわりたいんだよ」
そう言い終わると彼は再び椅子に腰かけた。

もう一回撮影し直す事になり
また元の位置から俳優は腰を振り始めた。

CM撮影の最中、黒いスーツを着た男性社員は
「とても美味しそうに撮れていますよ」
と誰かと電話で話しをていた。

そして大瀧の方へ行き
「クライアントが到着します」と言った。

「おう お出迎えだ」と言い大瀧は立ち上がった。

「カット!」の指示が俳優に入った。
俳優はその場に倒れた。

監督は「どうですか?腰の動きは?」
と大瀧に聞いた。

「見てなかった。いくつか適当に取っておいて。」
と監督に大瀧は言った。

監督は黙って大瀧を見た。

大瀧は黒いスーツを着た男性社員と他数名
を連れスタジオを後にした。

倒れた俳優は着ぐるみの頭部を外し
黙って彼らを見送った。

社内では先程撮影された「キツネうどんのCMを
使用するか否か」の会議が行われていた。

「いかがでしょう?」と大瀧は部屋の中の皆に訪ねた。

「これはすごい」と大瀧の対面に座る上司が言った。

「我ながら良い出来だと・・・」と言った大瀧の言葉を遮り

大瀧の上司は「いや すごくひどい」と言い出した。

そしてさらに大瀧の上司の隣にいる上司が
「この猫 もっとネコらしくしたい。これじゃあキツネみたい」
と笑顔で言い出した。

黒いスーツを着た男性社員は「いやぁ、これはキツネでして・・と慌てて説明しだしたが、

大瀧の上司は
「宣伝室長がネコだって言ったらネコです。」と断言した。

それから黒いスーツを着た男性社員は

「ネコですよね。」とあっさり宣伝室長の意見に同意した。

「じゃあもっとネコらしく直して 明日までに。」
大瀧の上司はさらりとそう言った。

多くの社員があっけにとられたまま会議は終了した。

会議の後、大瀧の部屋を大田は訪れた。

「お呼びでしょうか?」と大田は言った。

「ダメだぞお前 いい年して着ぐるみ着て腰振ってるようじゃ」
と大瀧は言った。

「え?それは大瀧さんがやれって…」大田はビックリしながらそう言った。

大瀧は冗談を終わりにし、
CMが使われることになった事を大田に言った。

そして「ありゃお前のCMと言ってもいいぐらいだ おめでとう」
大瀧は大田に言った。

「ただ、簡単な直しがあってね…後はお前に任せる」
大瀧はそう言った。

「直し?」大田は不思議そうな顔をした後

「どんな直しですか?」と大瀧に聞いた

彼は言いづらそうに一言「ネコにしろ」そう言った。

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