映画「サイドカーに犬」

マンションの全面窓ガラスからはまたマンション、
それに高層ビルや少しの森などが見える。

部屋に黒いスーツを着て
黒いバッグを持った女性(薫)が
入室した。

奥の窓ガラスから見える風景を、
白いドレスを着て白いバッグを
持った女性が見ている。

彼女はそこから今度は
室内と全面窓ガラスの前の
景色を笑顔で見た。

「すいません。窓お開けしますね」
「どうぞ」

そう言い、
薫は窓を開けた。

白いドレスを着た女性は窓を開け
笑顔でベランダに出た。

「日当たりが良いのでガーデニングをされる方も
結構いらっしゃるんですよ。」

と薫は言った。

「あぁいいかも。ハーブとか育てて。」
白いドレスを着た女性はそう言って
満面の笑みを浮かべた。

そこへ、灰色のスーツを着て眼鏡をかけた男性が現れ

「狭かないけどさぁ、便所に窓がないと
落ち着かないんだよね、俺」とやや不服そうに言った。

「さっき説明受けたじゃん」
白いドレスを着た女性は男性に言った。

「いやぁまあ無くてもいいんだけどさ」
男性はそう言いながら部屋の奥へ移動した。

「条件を追加してお探しすることもできますよ」
薫は笑顔で白いドレスを着た女性に言った。

しかし白いドレスを着た女性は
薫の言葉を無視し

がっかりした顔をして無言で男性の方に行き
「もうホントグズなんだからぁ」と言い

男性が何か言って2人は共に帰って行った。

薫は黙って、ため息を一息つき
開けた窓を閉め部屋から出て行った。

《サイドカーに犬》

その後、喫茶店に行き
灰色のスーツを着た男性(透) が座っている席へ、
コーヒーを持った薫は座った。

「悪いね仕事中」透は薫に言った。

「うん」
たいして気にしてなさそうに薫は返事した。

「結婚式の招待状」
スーツを着た透は
自分の前に座った薫にそれを渡した。

「そっちは?」そう透に聞きながら
彼女は渡された招待状を開封した。

「うん。最近出版の方も初めて。
持ち込みの自費出版ってやつ。
割と多いんだよね。自伝とか残したい人。」

透は薫に言った。

「へぇ。」薫は透に言った。

「オヤジにも『書かないか』って
冗談で言ったら、何か本気で考えてた。」
透は薫に言った。

「お父さん来るの?」薫は透に尋ねた。

「うん、あっ姉ちゃんの事心配してたよ。」
透は薫に言った。

「そう」薫は言った。

「大変だったよ。お袋の方は。」透は姉に言った。

「ああ・・」薫は透が受けた大変だった想いを
想像して、同情するような眼で彼を見た。

「親父とは口きかないでいいからって
頼んでどうにか」彼は姉に言った。

「まぁこういう機会ないとさ
一生家族で集まる機会ないし」
姉を説得させるような口調で彼は言った。

「ふぅん 意外だね。」薫は透が
その様な言葉を言った事に驚き
少し吹き出しながら笑みを漏らした。

「仲のいい友達集めて
簡単に済ませるんだと薫は思ってた。」
薫は透に笑顔で言った。

「姉ちゃんはしないの?」
透は笑顔で薫を見ながら、
彼女が見ている結婚式の招待状を
2回指差した。

薫はストレートな質問に少しあせりながら
少しだけ照れ笑いして
「ア~ァ・・・・」
と言葉を濁して首をかしげた。

そして透の結婚式に「出席」にマークされている
自分充ての招待状を彼女は見て、少し困った顔をした。

そして「糸くず」と
透は薫が着ているスーツに着いている
それをいきなり指摘した。

「エッ?」
薫は透が指指している右肩付近に着いている

「目立つよそれ。気付かなかったの?」
透は彼女のスーツの右肩付近に着いている「糸くず」
を指差しながら指摘したので、彼女は「白い糸くず」を取った。

そして「女なんだからそう言うのちゃんと気にしなきゃ」
と、幸せ絶頂の彼は気にせず、薫に差別的な一言を言った。

「そうかなぁ」と大人の対応で聞き返した薫に、

「そうだよ。そんなん当たり前じゃん」
と酒を飲んで来たかの如く兄弟に説教した。

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